86 水道の蛇口の音も寒の明け 能登航 2
「音」が取れるといい。
水道の古き蛇口も寒の明け
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93 大根がほつこり煮えて仲直り えいこ 9
「ほつこり」は焼芋の感じ。
焼芋をほつこり割つて仲直り
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95 初場所や呼び出しの声朗々と 能登航 0
季語が「初場所」あまりに近すぎます。もう少し離れた季語を、
呼び出しの声朗々と松飾り
86 水道の蛇口の音も寒の明け 能登航 2
「音」が取れるといい。
水道の古き蛇口も寒の明け
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93 大根がほつこり煮えて仲直り えいこ 9
「ほつこり」は焼芋の感じ。
焼芋をほつこり割つて仲直り
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95 初場所や呼び出しの声朗々と 能登航 0
季語が「初場所」あまりに近すぎます。もう少し離れた季語を、
呼び出しの声朗々と松飾り
83 富士山を賜る国の冬の朝 えいこ 1
「富士山を賜る」が面白い。
荒波に富士をたまはり冬の梅
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84 薄氷の風の便りを描くなり ハセオ 0
風に薄氷が動いたということでしょうか、技巧が先走ってややこしい一句。
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85 菜の花の茹でた青さは命色 りぱりこ 0
「命色」、造語でしょうか?造語は避けたいところ。
80 臥す吾に子は拳ほど障子開け あつこ 3
なぜ「障子開け」なのかそれとなく暗示させる工夫を。
臥すわれに障子開けてや梅の花
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81 ドドドンと波水仙は香を放ち いつせ 2
「香を放ち」と季語の「水仙」に触ってはだめ。
どどどんと波どどどどと水仙花
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82 門松や背筋正して挨拶す 矢野敬和 3
ちょっと紋切型。
72 梅の香を挟み朝刊来たりけり 風来 1
「挟み」が分かりにくい。
梅の香とともに朝刊来たりけり
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73 ぽつぽ焼きの香る参道初天神 柚子 0
どこの「ぽつぽ焼」でしょうか?新潟だけかと思っていました。
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77 靴紐を結ぶ暇無し雪の精 信信 0
何故?「靴紐を結ぶ暇無し」なのか、そこが曖昧ではだめ。
67 水底に寺あるごとし二月かな 保寿美 1
下五で切字「かな」を使う場合は、「あるごとき二月かな」と連体形で繋げるのが普通。形にとらわれることもないのですが、参考までに。句は意味不明。
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69 白梅の香りの中の平和かな 杉山駄芭 1
「平和かな」が漠然としてとらえどころがない。
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71 胸に抱く葉つき大根ゆつさゆさ ウサウサ 0
簡潔に。
胸に抱く大根葉つぱゆさゆさと
63 ストーブの給油予告よじゃんけんぽん デラシネ 2
意味不明。
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64 通るたび繭玉飾に触れていく しげ木し 1
繭玉に触れる、という発想がやや陳腐。
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66 数の子を噛む音自慢米寿の歯 惠啓 2
「米寿の歯」がトリビア。
ばりばりと数の子を噛む米寿かな
55 春や来るすずめ三羽の我が庭に 岩魚 1
上五がちょっと変わった形。
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58 引き出しに薬とりどり春隣 和美 1
「春隣」は希望を感じさせる季語。
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62 往診を終へ馬小屋の初明り トンシ 5
獣医さんでしょうか、「馬小屋を初明り」がいい。
51 悴みし手に水持ちて父母の墓 せつこ 2
「桶持ちて」がいい。
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52 古りしもの溜まる本棚鳥雲に 秀昭 1
季語の使い方がうまい。
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54 食卓の真中にでんとずわい蟹 柚子 2
「たらば蟹」の方が「でん」としているのでは?
45 合唱の初めは呼吸梅一輪 山水 3
深呼吸して斉唱や梅の花
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46 あうらにも霜の音聞く朝まだき あけび 0
ちょっと面白い。「朝まだき」を取って、
あうらにもしかと聞こえて霜の声
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49 立山の姿くつきり淑気満つ 冬菊 2
安易な句づくり。俳句は発想が命。
40 風花やリフトの行き交ふ宙の坂 岡田 絮 0
「宙の坂」で意味不明に。
風花の空へ上がつてゆくリフト
——
42 馬追ひや冬の十勝を轟かし 喜太郎 1
「馬追」は秋の虫ですが、ばんえい競馬のことでしょうか。
——
43 褒められてぽつと赤らむ雪女 二石 6
「褒められて」はやや強引。
37 首すくめ寒さ楽しき散歩かな 素夢 0
立子のように詠んでみたい。「しんしんと寒さがたのし歩みゆく 星野立子」
——
38 吊橋のさえぎる吹雪遠灯り 松の 1
さえぎらないのでは?
吊橋を吹き抜けてゆく吹雪かな
——
39 夫婦して遺影にせんと初写真 まさよ 4
ちょっと面白い。
33 後戻り子ら薄氷を踏みたくて しんい 5
客観的に詠めそう。
後戻りして薄氷を踏む子かな
——
35 浅春や高みで鳶の身じろがず 凡人 1
止まっている鳶でしょうか?ちょっとあいまい。
——
36 真つ青な竹が突き出て雪の壁 たかし 2
すっきりした一句。
27 雄叫びの女剣士や寒稽古 岡田 絮 1
「剣士」が安易。
雄叫びの少女頬染め寒稽古
——
28 軽トラは日本の宝大根引く 森本哲雄 1
「日本の宝」はちょっと大げさ、「我が家の宝」くらいで。
——
30 送信を終えて窓には寒昴 しげ木し 0
「送信」の内容が肝心。
送信は術後良好寒昴
23 寒四郎三年ぶりの鈴緒かな 幹子 1
お参りしたということか?ちょっと分かりにくい。
——
24 インフレへ怒気の目を入る福達磨 八郎 3
複雑に詠んでいます。
インフレに怒りのまなこ福達磨
——
25 ボス猫の陣取る祠冬の月 トンシ 3
季語がおとなしい。
ボス猫の陣取る祠かまいたち
18 啓蟄やサイレン遠く急を告げ あけび 0
何のサイレン?
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19 初鳴きの闇に一声村十戸 帆里 4
「初鶏」のことでしょうか?季語がはっきりしない。
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21 歳時記に例句拾ひて春を待つ 喜太郎 3
「例句」の「例」がいらない。
歳時記に句を拾うてや春を待つ
15 聞き上手話し上手やおでん酒 新月 11
「聞き上手話し上手」を具体的に描写できたら素晴らしい。
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16 球根を掘り上げたるや日脚伸ぶ せつこ 1
冬に掘り上げるのはどんな球根でしょう。
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17 地球にも寿命のありき冬銀河 健作 0
季語が「冬銀河」ではあまりにも正直。
地球にも寿命のありき冬の蠅
12 手套脱ぐ憤怒の形なだめつつ 秀昭 1
「憤怒の形残しつつ」なら分かるのですが?
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13 まつさらのまま日の暮れる雪野かな 百合 6
美しい日暮です。
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14 木刀で氷柱払ふや朝稽古 たかし 4
勢いのある一句。
8 無人駅伝言板に春愁 気儘 0
「伝言板の春愁ひ」がいい。
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9 装飾に雪吊のあり都のホテル 松の 0
雪の降らないところでも雪吊をしている、ということでしょうか。面白くはない。
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10 おめでとうさんどす花街年新た 二石 1
もう少し簡潔に。
おめでとうさんどすで年改まる
4 悴んで悴む妻と手を繋ぐ 凡士 3
頭韻を踏んで技の一句。
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6 三ヶ日過ぎて厨に戻る閑 パセリ 0
最期の「閑」で分からなくなります。
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7 雪原のどっぷり浸かる外湯かな とおる 0
「どっぷり浸かる」が効いていない。
雪原に湯気濛々と露天風呂
1 藪入りや楽しさ語る親父殿 かずえ 0
不器用が悪いというのではないのですが、下五の「親父殿」はなんとも不器用な置き方。
藪入の楽しさ語る囲炉裏かな
「藪入」という季語も廃れゆく季語の一つ。
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2 寒鰤の腹を割かれてゐるところ いつせ 2
「ゐるところ」という置き方、覚えておいてもいい俳句のテクニック。
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3 人情の機微深浅や六の花 鋭次 0
「機微深浅」を具体的に詠まなければ俳句にならない。