蟾蜍(ひきがへる)長子家去る由もなし 中村草田男
「長子」は長男。「由もなし」は理由もない。つまり、家を出たいのだが、家を継がねばならない長男としては、家を出て行くまっとうな理由もない、長男は家という桎梏から逃れられない、ということ。
それが、「蟾蜍」とどう響きあうのか、「家」という重圧に踏み潰される長男いう宿命が、あの「蟾蜍」に象徴されているということであろうか。理屈では読み解けないのが、この種の取り合わせの俳句である。
「長子」は長男。「由もなし」は理由もない。つまり、家を出たいのだが、家を継がねばならない長男としては、家を出て行くまっとうな理由もない、長男は家という桎梏から逃れられない、ということ。
それが、「蟾蜍」とどう響きあうのか、「家」という重圧に踏み潰される長男いう宿命が、あの「蟾蜍」に象徴されているということであろうか。理屈では読み解けないのが、この種の取り合わせの俳句である。