感想26
155 はじめてのやうに聞くふり日向ぼこ 松下孝裕 9
何度も聞かされている話。
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157 ふんわりと花びら散りし春の庭 のりさん 0
季重なりです。「石の庭」や「苔の庭」などに変えてみる。
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159 軽石でかかとをこそぐ朧かな 百合 0
この「朧」、ややなまめかしい。
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160 避難所に安堵の寝顔掛毛布 新月 0
この「安堵」は常識。常識を詠んでもつまらない。
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162 春燈父の遺せし古語辞典 卯月 1
「春燈や」のほうがいい。
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173 嗜むと云うほど飲めぬ春の宵 暁 1
「言ふほど飲めず」がいい。
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193 おぼろ夜や墨絵ぼかしの竹生島 鋭次 3
「墨絵ぼかしに」がいい。
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199 春めくや自転車かごにフランスパン えいこ 5
「さへずりや」くらいがいい。
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206 雛もまた老いて箱より出でにけり 椋本望生 5
いただいた一句。雛もまた長い年月をすこしづつ古びゆく。
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208 竹かごに真綿と紛う子猫かな しんい 2
いただいた一句。普通に「真綿のやうな」でいい。
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209 陽だまりにぽっかり萌ゆる蕗の薹 ゆくお 0
オノマトペを活かすなら、
日だまりにぽかりぽかりや蕗の薹
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213 ふらここを海へ大きく漕ぎ出せる えいこ 1
いただいた一句。「大きく」はかえって句を小さくする言葉。
ふらここを太平洋へ漕ぎ出せる
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215 苗札に消しゴムの跡春隣 秀昭 2
雰囲気がありますが、「春隣」が不要。
苗札に消しゴムの滓ほろほろと