59 見送りに応ふ船笛天高し 秀昭 1
「見送りに応ふる汽笛天高し」で充分。
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60 葛かずらむかし眼科の窓ふさぎ 松の 1
「むかし眼科の窓ふさぎ」が分かりにくい。
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62 庭下駄の鼻緒にしめり鉦叩 百合 3
露の庭下駄。
59 見送りに応ふ船笛天高し 秀昭 1
「見送りに応ふる汽笛天高し」で充分。
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60 葛かずらむかし眼科の窓ふさぎ 松の 1
「むかし眼科の窓ふさぎ」が分かりにくい。
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62 庭下駄の鼻緒にしめり鉦叩 百合 3
露の庭下駄。
54 威銃殺めるほどの敵でなし 苦茶 1
害鳥が「殺めるほどの敵でなし」ということでしょうか。ちょっとわかりにくい。
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56 今日からは攻めに転ぜよ稲光 百合 2
命令形の俳句、もっと具体的に。
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57 ニュートンの法則まじか熟し柿 卯月 2
理屈の俳句。
51 葛の花行きどまりより引き返す 春生 2
葛の花山道尽きて引き返す
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52 繰言や枝豆の皮うず高し デラシネ 7
後ろ向き俳句。こうした句は詠まない、そんな覚悟を持って。
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53 秋高し人に笑顔といふ力 原 洋一 3
「笑顔」では常識。
46 美しく風を捕らえて蜘蛛の糸 花埜 3
普通なら「蜘蛛の糸風をとらへて美しき」
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48 「蓮の花見ていかれよ」と庫裏の声 かいこ 2
「庫裏の声」よりも「和尚さま」がいい。かぎ括弧は不要。
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49 新しき靴の重さよ小鳥来る 秀昭 5
ちょっと気分が乗らない俳句。
41 正面に天守閣据え運動会 マリ子 1
「天守を据ゑて」がいい。
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43 待つほどに見上ぐる夜の大花火 花埜 1
待っている間に見上げるのは不自然。
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45 有り余る時間は何処夏休み 風月 1
有り余っていたのにいつの間にか時間が過ぎている、ということでしょうか。常識を句にしてもつまらない。
36 マネキンの服は秋色残暑かな 美登里 0
季重なり。
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37 コスモスや揺れて天地に色を撒き 杉山駄芭 3
「天地」の「天」が不自然。
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40 新涼へ気球は高く大十勝 つかさ 3
「気球を上げて」でいい。
32 ちゅるちゅるを買ふてペットの盂蘭盆会 郁文 1
死んだペットの好物でしょうか?ちょっと分かりにくい。
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33 潮風もともにたたみぬ白日傘 松の 7
「ともにたたみぬ」が工夫の描写。
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35 発酵の調子どうかな昼寝覚め 李萌 0
糠床?何の発酵か具体的に。
糠床の加減気になる昼寝覚
29 家族みんなで穴に入る広島忌 とおる 0
意味不明。
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30 秋の虹身の衰へにあらがはず しんい 2
食べ物の季語を。
鱧食うて身の衰へにあらがはず
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31 旧姓で呼び合うことも盆参り 和美 5
整っていますが、類想がありそう。
25 見上ぐれば無音耳鳴り秋日和 小林土璃 0
具体的なものが何もない。つかみどころがない俳句。
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26 夕虹のポストの口の滴かな 渓二 0
ポストが濡れているのか?このままでは意味不明。
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27 心太つるりつるりと子が突きぬ 矢野敬和 0
季語を説明しているだけ。
21 露草や誰にもあった「若い頃」 風来 1
「誰にもあった若い頃」は決まり文句、どんな季語をつけてもそれらしくなるが、内容は希薄。
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23 人類の英知が汚す秋の海 森本哲雄 0
説教くさい俳句。
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24 彦十がヒロシマ語る敗戦忌 瞳人 0
「彦十」?鬼平犯科帳でしょうか?意味不明。
18 稲妻や湖に針刺し山を削ぎ あつこ 0
見立ての俳句ですが、ちょっと大仰。
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19 場末には似合ひの真紅水中花 立野音思 0
酒場の派手な女、ということか?やや分かりにくい。
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20 不機嫌な妻の愚痴聞く残暑かな 縁矢 1
後ろ向きな俳句、読めばよむほどうんざり、できれば妻を称える俳句を。
役人に大切なことは忖度(他人の気持ちをおしはかること)らしいが、こと俳句の選に関しては忖度も斟酌も無用な心遣いである。句会などで「この作者の言わんとしていることは理解できる」というような発言をよく耳にするが、むしろ理解できないほうが作者のためになる。理解してもらって、中途半端な描写でも通用すると思い込んだらそれこそ意味不明の俳句を量産しかねない。あれこれ思考をめぐらして器用に選句するよりは、不器用で愚直な思考が選句にはためになる。不器用な思考は、余計な思い入れが入らない分だけ選句が早い、感動の受け取り方も直線的で、俳句に込められた思いが真っすぐに入ってくる。忖度も斟酌もない不器用な選句はすなわち、忖度も斟酌も期待しない俳句作りでもある。俳句はそこに示された十七文字だけがすべてである、そのことに今一度立ち戻ってみるのもいい。(大呂13号、編集後記より)
15 ボール手にまどろむ稚児や夏座敷 仙郷 2
「まどろむ子ども」で充分。
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16 切抜きの詰碁八月大名ぞ せつこ 0
季語のとらえ方がちぐはぐでは?
「八月大名 八月にちょっとした大名気分を味わうということ。陰暦の八月は刈り入れ前の農閑期。農家ではこの時期を利用して客を招くことが多く、酒肴などにささやかな贅沢も許された。(ネット歳時記 きごさい)から引用。
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17 秋風に軽く踏み出す一歩かな なつ子 7
雰囲気のある俳句ですが、切字「かな」がこの場合は重すぎる。軽やかな感じが大切。
秋風に一歩を軽く踏み出せる
11 新盆や白き卒塔婆がぎっしりと 八郎 1
当たり前では?
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13 老犬の寝息おだやか虫の声 渡邊幹子 3
季語?「秋の風」くらいか。
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14 虫の声ギリシャ神話へつづく空 風子 3
意味不明です。風子さんらしくない。
4 みちのくの脊梁跨ぐ銀河かな 山彦 4
大きな景色。
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7 西瓜提げ見舞ひに来たる恋敵 岡田 絮 3
「見舞ひ」という言葉が入ると何の病かという事情が発生します。
恋敵西瓜を提げて来たりけり
これでいいという覚悟も大事。
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8 鳳仙花朝から妻は忙しい ぼんくら 0
ただごとですが、季語を選べば少しは救われそう。
蝉鳴いて朝から妻は忙しなき
1 竹の箸ぱちんと割つて祭鱧 たかし 3
やや常識。
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2 〝芋あめ〟は爺の手遊び地蔵盆 ひろ志 0
普通に「子どもらと芋飴つくり地蔵盆」くらいでいい。
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3 マネキンの欲しき長袖今朝の秋 光雲 0
「今朝の秋」は立秋の朝、一年で一番暑い頃。
今回、選句していない人は2人でした。トップは13点。
打ち水に夕陽ほどける匂ひかな 原 洋一
「打ち水」は「打水」と表記を、「夕陽」は「夕日」がいい。「ほどける」が分からない言葉。普通なら「夕日のにじむ」くらいか。
ほかによかったのは
なつ子さん ぼんくらさん みづほさん 鋭次さん 山彦さん 秀昭さん 松のさん 仙郷さん 二石さん 百合さん 風子さん 北天さん 柚子さん 李萌さん 和美さん
選句結果は上の「選句結果」をクリックしてください。
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131 十薬や山門前の地蔵尊 風太郎 0
整った俳句。
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132 それぞれの落暉放ちて植田かな 山彦 0
推敲すればいい俳句になりそうです。棚田の方が「それぞれ」という言葉にふさわしい。
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143 満天の星屑浮かべ夜のプール 凡士 2
「星屑浮かべ」ではなく「星をうかべて」
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144 妻が聞く老いの繰り言端居かな 山彦 2
句の形は「繰り言を妻に聞かせる端居かな」ですが、こういう後ろ向きの句を読ませられても楽しくない、といのが本音。
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151 疎開児の生きて米寿や敗戦忌 素夢 12
高点句でしたが、季語が「敗戦忌」では理屈の俳句、ここの季語選びが作句の力、とても重要です。推敲に値する一句です。
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157 水打てば帰港の汽笛ほうほっほう ハセオ 2
ちょっと面白い。もっといい季語がありそうですが。
ぼうぼうと帰港の汽笛ソーダ水
選句締め切りを過ぎましたが、まだ2人の方が選句していません。選句していない人は以下の方々です。少し待ってみます。
蓬莱さん 林幸子さん
127 雲の峰物干し竿にシャツ二枚 渓二 1
「シャツ二枚」では当たり前、なにかはっとするものが干してあれば面白い。
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128 買いたての日傘広げて遊歩道 由紀子 0
下五「遊歩道」では場所の説明、ここをどう据えるかで俳句ががらりと変わります。
買ひたての日傘を広げ老の恋
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130 涼しさや雨中を燥ぐ子供たち 李 萌 0
素裸で子どもはしやぐや雨の中