感想16
88 ふらここや草木の息吹に呑み込まれ 幹子 0
受け身で詠むよりは、
ふらここや草木の息吹吸ひ込んで
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89 避難所の棚に立ち雛折りにけり 帆里 0
もっと単純でいい。
避難所の棚に立たせて紙雛
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90 窓越しの猫は細目の春半ば あけび 2
季語?「春うらら」
麗か(うららか)と長閑(のどか)の違いについて
どちらも春の時候の季語で、ネット歳時記「きごさい」の解説によれば、麗かは「春の日がうるわしくなごやかに照って、よろずの物が輝くさま」を言い、長閑は「春の日ののんびりとしたさまを」言う、とある。二つの季語に共通しているのは「春の日」に関わった季語であると言うことだが、山本健吉の『基本季語五〇〇』(講談社学術文庫)によれば、二つの季語は、「同じ意味合いをもちながら、前者(麗か)は主として春の陽光(SUN)に、後者(長閑)は主として春の一日(DAY)の形容に言う。」ことらしい。そもそも、「春の日」という季語が、春の陽光(SUN)と春の一日(DAY)という二つの意味を持つ。麗かな春の日差し、長閑な春の一日、と区別して覚えて、この二つの季語をうまく使い分けたいものである。