感想28
215 鋏音の調子冴えたる庭師かな はるじ 1
季語は「冴ゆ」、冬の俳句です。「鋏の音」としてみたい。
松切つて鋏の音の冴えわたる
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216 木の葉髪こころのほどを見透かされ 正男 1
季語「木の葉髪」が面白い斡旋ですが、「こころのほど」がやや曖昧。
下心見透かされしや木の葉髪
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218 夕暮れに詩人の如き冬木立 南井剛 1
「冬木立」は複数の木立を意味する季語です。
夕暮れて詩人のごとし冬けやき
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219 鬱の児よ おもいきり泣け 冬の波 市原等 1
何んか気分だけの俳句?
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221 鉄の鍋ぶつ切りの葱ぶち込める みつ 0
「ぶち込める」はやや乱暴、「放り込む」でいいのでは?
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222 大笊で罠を作らん寒雀 百合 0
何かわざとらしい。
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225 湯豆腐の湯気をはさんで夫婦箸 松の 1
夫婦箸の「箸」が重い。
湯豆腐の湯気をはさんで夫婦なる
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229 セータを脱ぐや句の種見失ふ 椋本望生 2
面白いところを詠んでいます。
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234 木洩日は夕日の欠片秋惜しむ 秀昭 3
「夕日の欠片」がいい。もっといい季語はないのでしょうか。
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258 ぎしぎしと桶軋ませて冬菜かな ひふみ 6
しっかりした一句ですが、類想があるかもしれません。