感想21
179 南風吹きてスローモーション木々のゆれ うらら 1
語順を変えて、
木々揺れてスローモーション南風(みなみかぜ)
ゆさゆさと木々の揺れやまぬ南風かな
ゆさゆさと木々の揺れやまぬ大暑かな
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181 裏山の水引き入れて冷奴 なずな 6
うまい句です。芭蕉なら「裏山の水汲ませてや」と使役の俳句にしたかもしれません。
清滝の水汲ませてやところてん 芭蕉
清滝川の水を汲ませて作ったところてん、ということ。「汲ませて」は使役、「人に家をかはせて我は年忘 芭蕉」と同様、誰かに何かをさせるというかたちになる。美しい清滝川の水で作った、それはおいしいところてんです、という挨拶の俳句である。中七の切字「や」にはいくらか推測の働きがあって、「汲ませたのでしょうか」というような意味合いにも取れる。
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185 木漏れ日や眩しさ増して梅雨に入る 縁矢 0
「木漏れ日の」か?
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192 つと寄るは兄の御魂や大蛍 靖子 5
しっかりした一句。「たましい」と「蛍」の取り合わせがややパターン。
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193 天辺に明日のつぼみ夏椿 ひふみ 2
「明日のつぼみ」がいい。
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194 遠き世の香りを今に古代蓮 波山 3
「香り」では常識。
遠き世のからくれなゐを古代蓮